「えーーっ!?」
静かだった教室が、一気に騒がしくなる。
「宇山くん、やばい。めちゃくちゃかっこいいんだけど」
「イケメンすぎる〜!」
あちこちで飛び交う、女子たちの声。
「そ、そんな……」
ふらふらとよろめいた伊集院さんを、近くにいた女の子が支えた。
「改めて言うけど……俺の本当の名前は、三池彗。だから、菜乃花は二股なんてしていない」
彗くんは私の肩に手をまわすと、私を自分のほうへと抱き寄せた。
「菜乃花は、俺のたったひとりの大切な彼女だ。今後、俺の彼女を傷つける人は、たとえ誰であろうと許さないから」
彗くん……。
「分かったかな? 伊集院さん」
「っ、はい……」
悔しそうな顔をしつつも、蚊の鳴くような声で返事をする伊集院さん。
そしてふいにこちらを向き、私をきつく睨みつける。
「たとえ羽生さんが彗さんの大切な彼女であっても、あたしはあなたが彗さんの彼女だってこと、絶対に認めないから」
叫ぶように言うと、伊集院さんは走って教室を出て行った。



