「昨日、あたしもママと一緒に三池家のお茶会に参加したんだけど。あなたが御曹司の方の彼女だって、紹介されているのを偶然見かけて」
うそ。昨日、伊集院さんがあの場にいたの!?
私は思わず息をのむ。
「羽生さんは確か、そこにいる宇山くんと付き合っているのよね?」
伊集院さんは、彗くんをビシッと指さす。
「それなのに、御曹司の方の彼女でもあるなんて、どういうことなのかしら?」
当然だけど伊集院さんは、私の隣に立っている彗くんが、三池財閥の御曹司だとは全く気づいていないみたい。
「羽生さん。あなたまさか……二股でもしているの?」
「ええっと」
もちろん、二股なんてしていないけど……。
彗くんが三池財閥の御曹司だってことは、学校のみんなには秘密だから。
クラスメイトの宇山彗くんと、昨日の御曹司が同一人物だなんて、口が裂けても言えない。



