葵くんが彗くんのお兄さんだと知ったとき、彗くんから距離を置くべきだと思って、一瞬心が揺らいだけど。
私がやるべきことは、彗くんとの関わりを絶つことじゃない。
葵くんが、自分の命を削ってでも私を助けてくれたのだから。今度は、私がその恩を返す番。
今になって思えば、こうして私が葵くんの弟である彗くんのボディーガードになったのも、何かの縁なのかもしれない。
だから今、私が一番にするべきことは、彗くんのそばで彼を全身全霊で守ること。
彗くんのボディーガード兼カノジョとしての役目をちゃんと果たして……大好きな彗くんの笑顔を守ることなんだ。
私は、真っ直ぐ彗くんを見つめる。
「ねぇ、彗くん。私、何があっても彗くんのことは絶対に守るから」
「ありがとう。菜乃花がそばにいてくれると思うと、心強いよ」
この先、どんなことがあってももう迷わない。彗くんのことは、私が命がけで守るよ。
この日私は、心の中で改めて誓ったのだった。



