何か言われるのかな? と、固唾を飲んで身構えていたら。
「こんにちは。いつも彗がお世話になってます。菜乃花さん、今日はゆっくりと楽しんでいって下さいね」
「……っ、はい。ありがとうございます」
私にニコッと微笑むと、お母さんは足早に歩いていった。
『彼女』って言ったら、てっきり反対されるのかな? と思っていたら……。
特に何も言われなくて、肩の荷が一気におりた。
ああ、彗くんのお母さんに交際を反対されなくて良かった……って。私ったら、どうしてこんなにも安心してるんだろう。
「母さんに挨拶も終わったし。テーブルのほうに行こうか」
彗くんのあとに続き、空いているガーデンテーブルのほうへと向かって歩いていると。
「そういえば、三池さんのご長男の葵くんの命日ってもうすぐよね?」
招待客の女性二人の話し声が聞こえてきて、私は思わず足を止めた。



