「といっても、あたしの彼氏の情報だから。参考にならないかもしれないけど」
身長150cmで小動物みたいに可愛らしい風音ちゃんは、中学生の頃から付き合っている彼氏がいる。
確かに、風音ちゃんの言うとおりかも。
おそらく今までは、私が空手が強いことが学校中に知れ渡っていたせいで、男の子がみんな怖がって寄りつかなかったのだろうから。
それを隠せば、もしかしたら私も今度こそ恋ができるようになるかもしれない。
来月の転校は、絶好のチャンスだ。
「風音ちゃん。私、次こそは頑張ってみるよ」
「うん。菜乃花は可愛いから、きっと大丈夫! 拳を出さずおしとやかにさえしていれば、彼氏なんてすぐにできるよ!」
風音ちゃんのいう『可愛い』は、いとことして言ってくれてるのだろうけど。
来月から通う、転校先の新たな学校では頑張ろうと気合いが入った。



