だって彗くんのおうちは、まるでヨーロッパの宮殿のような大豪邸だったから。
す、すごい……。
ケタ違いの豪邸に、私はごくりと唾を飲み込む。
「菜乃花!」
見上さんに案内されてお庭に行くと、彗くんが声をかけてくれた。
彗くんは、今日は変装用のメガネをかけておらず、素のままの姿だ。
かしこまりすぎていない、カジュアルなグレーのスーツも素敵。
広いお庭には色とりどりの花が咲き誇り、噴水やプールまである。さすが三池財閥。
「菜乃花、今日は来てくれてありがとう」
「こちらこそ。招待して頂いて、どうもありがとう」
緊張しながらも、何とかお礼を言う。
「そんなに緊張しなくても大丈夫だよ」
ガチガチになっている私を見て、彗くんが爽やかに微笑む。



