「う、うちにって……彗くんのお家?」
「うん。俺の母親、お菓子作りが趣味でさ。お菓子を焼いては知り合いを呼んで、よくお茶会をやってるから……菜乃花もどうかな? って思って」
お、お茶会って! きれいなドレスを着た貴族の女性たちが、優雅に紅茶を飲んだりするあれのことかな?
庶民の私にはあまり耳慣れない言葉に、内心冷や汗が流れる。
「お茶会っていっても、家の庭で軽くお茶するだけだから。ケーキとかフィナンシェとか色々出てくるよ」
「えっ。ケーキにフィナンシェ!?」
彗くんの言葉に、思わず食いついてしまった。
「はははっ。菜乃花は、お菓子が本当に好きなんだな」
う。彗くんに笑われちゃった。
もしかして、食い意地がはってるって思われちゃったかな?
私ったら、恥ずかしい……。
「それじゃあ、参加ってことで良いかな? 今度の日曜日、菜乃花の家まで迎えに行くから」
こうして私は、彗くんの家にお邪魔することになった。



