ある日の昼休み。
いいお天気のこの日、私は彗くんと一緒に学校の中庭のベンチに座って、お昼ご飯を食べていた。
花城学園の中庭には大きな噴水があって、その周りを取り囲むように設置されている花壇には、色とりどりの季節の花が咲いている。
「菜乃花の玉子焼き、美味そう」
私がお母さん手作りのお弁当を食べていると、横から彗くんが覗き込んできた。
「良かったら、ひとつ食べる?」
「いいの?」
「もちろん」
「それじゃあ、俺の唐揚げと交換ね」
彗くんが、自分のお弁当のおかずを私におすそ分けしてくれる。
こうやって、お弁当のおかずを交換するのも楽しいな。
「うん、美味い。菜乃花の家の玉子焼きは、甘いんだな」
「私、甘いものが好きなんだよね」
「へえ。それじゃあ、お菓子とかも好き? マドレーヌとか」
「うん。大好き!」
「だったら……今度、うちに来る?」
へ!?