「今は放課後だから。もう少し寝てても大丈夫だって、養護教諭の先生が言ってたから。ゆっくりしよう」
放課後……私ったら、そんなにも長い間寝ちゃってたんだ。
保健室の窓の外は、オレンジ色に染まっていて。
グラウンドで走り込みをする、運動部の生徒たちの元気な声が聞こえてくる。
川で溺れたあの日から、6年になるから。
さすがに大丈夫かな? って思ったけど……今回もやっぱり、水泳の前に体調が悪くなってしまったな。
「菜乃花、突然倒れたなんて大丈夫か? 江藤さんから菜乃花が倒れたって聞いて、すげー心配した」
「ご、ごめんね……いつものことだから」
「いつものことって?」
首を傾げる彗くん。
川で溺れて以来、水に対して苦手意識があるってことは、お父さんやお母さん以外誰にも話していないけど。
彗くんには、話したほうが良いかな?



