「そういえば、菜乃花。もうすぐ引っ越すんだっけ?」
「うん。お父さんの転勤で、小学2年生の頃まで住んでいた町に戻るんだ」
ショッピングモール内のクレープ屋さんに移動した私たちは、イートインスペースに腰かけ、購入したイチゴのクレープを頬張る。
「そっか。菜乃花ももし彼氏が欲しかったら、4月から転校する中学校では、空手が得意なことは隠したほうがいいかもね」
「え?」
私は、風音ちゃんに首を傾ける。
「男子って、守ってあげたくなるような女の子が好きらしいよ?」
「そうなの?」
守ってあげたくなるような女の子……か。



