「あー、やっぱり気になるよな」
彗くんが、ガシガシと頭をかく。
そして、私の耳にそっと口を近づけて囁いた。
「……大切な人」
──え?
「大切な人?」
オウム返しすると、彗くんが頷く。
えっ。たった今一緒に走ったってことは、彗くんの大切な人ってもしかして私なの!?
彗くんが私に見せてくれたカードには、確かにそう書かれていて。
ドクンと、心臓が大きく音を立てる。
「菜乃花は、いつも俺のそばにいてくれて。俺のことを、守ってくれてるから……」
ふいっと私から背をそむけた彗くんの横顔は、ほんのりと赤らんでいて。
「〜っ!」
ようやく言葉の意味を理解した私は、頬がぶわっと熱くなった。
まさか、彗くんが私のことをそんなふうに思ってくれていたなんて。
『大切な人』は、家族でも友人でも良いはずなのに。
こうして彼が私を頭に思い浮かべてくれたことは、すごく嬉しい。
だけど、それは……私が今、彗くんのボディーガード兼カノジョだからかな?



