借り物競争がスタートすると、色々なところで声が飛び交う。
「ガラケーを持ってる人がいたら、貸してくださいー!」
「お題が“髪を三つ編みにしてる人”なんだけど。三つ編みの人、いませんかー?」
お題が書かれたカードを手にした子たちが、クラスの応援席のところまで走ってくる。
「千春ちゃん、三つ編みだよね!?」
栗色の髪をいつも三つ編みにしている千春ちゃんに、私は声をかける。
「あっ、うん。はい! わたしで良ければ、いきます!」
千春ちゃんが、私たちと同じ白チームの男子と一緒に駆けていく。
借り物競争は順調に進み、いよいよアンカーの彗くんや蓮くんの番がやって来た。
私は、走り出した彗くんの姿を目で追いかける。
落ちていたお題のカードを拾った彗くんは、その場で足を止めた。



