「羽生さん、1位おめでとう〜!」
競技を終えて応援席に戻ると、クラスメイトの女の子たちが笑顔で出迎えてくれた。
「ねぇ、菜乃花ちゃん。次、宇山くんが出るよ」
千春ちゃんが指さしたグラウンドの中央には、彗くんの姿があった。
次の競技は、借り物競争。
そういえば彗くん、借り物競争に出るって言ってたなあ。
「彗くん、頑張ってー!」
「宇山くん、ファイトー!」
私は、千春ちゃんとふたりで彗くんを応援する。
私たちの声が届いたのか、彗くんは任せろとでも言うように、こちらに向かってグッと親指を立てた。
「キャーッ! 速水くーん」
「蓮くん! あたしたち、何でも協力するからねー!」
突然、女の子たちの黄色い声援が聞こえて肩が跳ねる。
グラウンドには、いつの間にか蓮くんの姿が。
「あれ? 蓮くんって確か、さっき障害物競争に出てたよね?」
「ああ、出る予定だったB組の男子が何日か前に足を骨折したらしくて。急遽、速水くんが代わりに出るんだって」
千春ちゃんが、私にこそっと教えてくれた。
そうだったんだ。
彗くんと蓮くんは二人ともアンカーみたいだから、いとこ対決ってことになるな。
これは、なかなか興味深いかも。



