「は、速水くん!?」
突然手を握られた私は、つい声が大きくなってしまう。
「僕のことは蓮でいいよ。お守り本当にありがとうね、菜乃花ちゃん」
速水くんが私に、ふわりと微笑む。
ていうか速水くん、いつの間にか『羽生さん』から『菜乃花ちゃん』に呼び方が変わってる。
「菜乃花ちゃんは、彗の彼女だから。やっぱりいい子だね」
私の手を握っている速水くん……蓮くんの手に力がこもる。
「蓮! さっさと手を離せよ。菜乃花が困ってるだろ」
彗くんが蓮くんの腕を掴むと、ようやく手を離してくれた。
蓮くんは彗くんと比べて、可愛らしい雰囲気のイケメンさんだけど。
改めてちゃんと握った彼の手は、意外と大きくて。少し骨張っていて。
しっかりと、男の子のものだった。
「千春ちゃんも、一緒に探してくれてありがとうねぇ」
蓮くんったら、いつの間にか千春ちゃんのことも下の名前で呼んでる。
「ったく。蓮のヤツ、調子いいんだから」
呆れたように言いながらも、蓮くんを見つめる彗くんの眼差しは、とても優しいものだった。



