隠れ御曹司は、最強女子を溺愛したい



「……ごめんな」


廊下をキョロキョロしながら歩いていると、彗くんが申し訳なさそうに声をかけてきた。


「え? どうして彗くんが謝るの?」

「蓮は、俺のいとこだから。蓮が、迷惑をかけて悪い」

「迷惑だなんて思ってないよ」


私は、彗くんを真っ直ぐ見つめる。


「前に彗くんが、学校に遅刻しそうになった私を助けてくれたとき。『俺が手を貸したくて、貸しただけだから。気にしないで』って、言ってくれたでしょ? それと一緒だよ」

「菜乃花……」

「だから、もう少し頑張って探そう。みんなで探せば、きっと見つかるよ」

「ああ」


それからもしばらく探し続けたけど、やはり結果は同じ。


「あとは、ここだけか」


千春ちゃんたちとの待ち合わせ場所である図書室の前に来て、ポツリと呟く私。


「あっ! 菜乃花ちゃん、どうだった?」


続いて図書室にやって来た千春ちゃんに、私は首を横に振る。


「みんな、僕のせいで迷惑かけちゃってごめん。もう探してくれなくて、大丈夫だから」

「えっ、どうして!? 速水くんの大切なお守りなんじゃ……」


千春ちゃんが、速水くんに聞く。


「もちろん大切なお守りだけど。最近父さんから、中学2年になったんだからそろそろバスケは辞めて、将来のためにも勉強に専念しろって言われてるから……もう良いんだ」