「ああ。小学生の頃、蓮がバスケを始めたとき、俺の兄貴が蓮にお守りをあげたんだよ。スポーツの神様で有名な、神社のものらしいんだけど……兄貴は、6年前に病気で亡くなってさ」
「えっ」
6年前と聞いて、心臓が小さく音を立てる。
私が川で溺れたのも、同じ頃だから。
「兄はいとこの蓮のことも、弟のように可愛がっていたから。そんな兄からもらったお守りを、蓮はいつも持ち歩いてずっと大切にしていたんだよな」
彗くんの言葉に、速水くんが頷く。
まさか、彗くんのお兄さんが亡くなられていたなんて。
お互いにきょうだいや家庭のことは詳しく話していなかったとはいえ、初めて知る事実に私は胸が痛んだ。
「ご、ごめん。私、余計なことを聞いてしまって」
「いや……」
こんなとき、なんて言ったら良いのか分からないけど……。
「あの。そのお守り、私も一緒に探させてくれないかな?」



