隠れ御曹司は、最強女子を溺愛したい



どうしたんだろう?


「速水くん!」


私が声をかけると、速水くんが振り返った。


「どうしたの?」

「あーいや、何でも……」


なんだか、歯切れが悪い。


「ねえ。もしかして、何か探しもの?」

「えっと……」

「菜乃花!」


速水くんが言い淀んでいると、そこへ彗くんがやってきた。


「菜乃花、足のケガは大丈夫!?」

「うん。お陰さまで大丈夫だよ。さっきはありがとう」

「良かった。帰りのSHRも終わったから、菜乃花を迎えに来たんだけど……」


彗くんの目線が、速水くんに向く。


「蓮、いつもよりも顔が暗いけど。どうしたんだ?」

「……べつに」

「蓮がそんな顔するなんて。もしかして、あのお守りを失くした……とか?」


彗くんに聞かれた速水くんの肩が、ぴくっと揺れる。


「やっぱり、そうなんだな」


確信した彗くんの顔にも、心なしか影がさす。


「えっと、お守りって?」


千春ちゃんとふたりで首を傾げながら、私は彗くんに尋ねてみる。