「え!?」
うそっ。これってもしかして、お姫様抱っこ!?
「きゃーーっ」
私がお姫様抱っこされていることに気づいたのと同時に、グラウンドには女子の黄色い声が響く。
「す、彗くん!」
こんなことをしてくれたら、一気にみんなの注目の的だよ。
彗くんも自分が三池財閥の御曹司だってことを隠したいのなら、あまり目立つことはしないほうが良いんじゃ……?
女子たちの声なんて聞こえていないかのように、彗くんは涼しい顔のまま私を抱いて歩きだす。
「ねぇ、彗くん。下ろして!?」
「ダメ」
私のお願いを、彗くんは全く聞き入れてくれない。
昇降口から、校舎内に入っていく彗くん。
授業中の廊下は、しんと静まり返っている。
「ねぇ、彗くん。私は彗くんを守る立場なのに、こんなんじゃ……」
「菜乃花はボディーガードである前に、俺の彼女なんだから。自分の彼女がケガしてたら、助けるのは当たり前だろ?」
彗くんの言葉に、胸がドキッと跳ねる。
「で、でも……」
「それ以上余計なこと言ったら、口塞ぐよ?」
「へ? く、口を塞ぐって??」
意味が分からず聞き返すと、彗くんが私の口元へ顔を近づける。



