隠れ御曹司は、最強女子を溺愛したい



「おっとっと……わっ!」


平均台の上をバランスを取りながら歩く途中で下に落ちそうになるも、私は何とか歩ききった。


そして大きな網をくぐり抜けて、次はハードル。


──『菜乃花も、障害物に足を引っかけたりして転ばないようにね?』


先日の彗くんの言葉がふと頭の中を過ぎり、私はゴクリと唾を飲んだ。


もし、ハードルに足が引っかかったらどうしよう。


そんなことを思ったけど、それもほんの一瞬だけ。


私はハードルへと向かって、走り出す。


ひとつ目は、何とかクリア。


そして、ふたつ目に挑んだとき。


「あっ」


ハードルを飛び越えようとする際に、足が上のバーに引っかかってしまった。


ハードルを倒し、私は地面に派手に転ぶ。