私は急いで彗くんの前髪を下ろすと、落ちていたメガネをかけさせた。
よし。これで、いつもの地味な彗くんの完成だ。
「あなた、急に飛び出してきて……気をつけなさいよ!」
彗くんの素顔が、周囲にバレずにホッとしたのも束の間。
彗くんとぶつかった女の子がトゲトゲしい言葉を投げかけてきて、私はカチンと頭にきた。
相手の女の子だって、ちゃんと前を見ていなかったのに……!
「あの、彗くんを責めるのはちょっと違うんじゃないかな? そもそも廊下は走っちゃダメなんだから。あなただって悪いでしょ……」
堪えきれなくて、私が彼女に言い返したとき。



