「おい、蓮。人の彼女を、あまりジロジロ見んなよ」
「いいじゃん。僕、自分にとって兄のような存在の彗の彼女に興味あってさ」
しばらくじっと見たあと、速水くんが私に手を差し出してくる。
ん? この手は何だろう?
「羽生さん、これからよろしく」
あっ。なるほど! 握手ってことね。
「うん。よろしく、速水くん」
私は、そっと速水くんの手を握った……つもりだったのに。
「いてててて」
速水くんは叫び、顔を歪めた。
「ちょっと、羽生さん。力強すぎ!」
「ご、ごめん!」
私は、慌てて速水くんから手を離した。
「菜乃花、自分で全然隠せてないじゃない」
隣の彗くんに突っ込まれながら、私は握手する際には、力加減に気をつけようと反省したのだった。



