翌日から、宇山くんのボディーガード兼カノジョとしての日々が始まった。
朝、私が学校近くの指定された場所に行くと、そこには昨日乗った黒塗りの高級車が停まっていた。
「おはよう、羽生さん」
後部座席の扉が開き、そこから宇山くんが出てくる。
「おはよう、宇山くん」
「今日からよろしく」
見上さんに人通りの少ない場所に車を停めてもらい、そこから宇山くんは15分ほど歩いて登校しているらしい。
その間、私は彼のボディーガードとして同行することになった。
お金持ちの家の生徒はみんな、車通学なのに。わざわざ歩いて通学するなんて、三池財閥の御曹司ということを隠すためとはいえ、徹底してるなあ。
宇山くんとたわいもない話をしながら、二人並んでしばらく歩いていると。
「!」
後ろからバイクがものすごい勢いで走ってきたため、私は車道側を歩いていた宇山くんの腰に素早く手をまわして彼を抱き寄せた。
ブォォン。
程なくして、宇山くんの脇をバイクが勢いよく走り抜けていく。