まさか、いつも教室の隅っこで静かに読書しているような彼に、こんなことを言われる日が来るなんて1ミリも思っていなかった。
「お願いします、羽生さん。彗さまのこと、どうか守って頂けませんか?」
見上さんが、私に頭を下げる。
……まだ始まったばかりの、花城学園での学校生活。
できれば皆と楽しく過ごしたいし、今度こそ恋だってしたい。
そして何より……転校初日に私が遅刻しそうになったとき、宇山くんに助けてもらったから。
宇山くんが困っているのなら、今度は私が助けたいって思った。
「分かりました。やります」
「本当に?」
「はい。私で良ければ」
私は、覚悟を決めた。
「ありがとう。それじゃあ、契約成立ってことで。今日からよろしく。俺のボディーガード兼カノジョさん」
宇山くんが、私に向かってパチンと片目を閉じる。
「ちなみに、俺の正体や君がボディーガードってことは、学校や外では内密に頼むよ」
「分かった」
何だか、とんでもないことを引き受けてしまった気がするけど……頑張るしかない。
こうして、宇山くんと私の秘密の関係がスタートしたのだった。



