突然の宇山くんのキレイな顔のドアップに、私は卒倒しそうになる。
「もし引き受けてくれなかったら、今日俺が見たことは全部、学校の子たちに話しちゃうけど……いいの?」
「そっ、それは……」
「羽生さんこの前、友達の江藤さんに『早く私の王子様が現れないかなー?』って、話してたよね?」
「え。宇山くん、そのときの話聞いてたの?」
「そりゃあ、君とは席が近いんだから。聞きたくなくても聞こえるよ」
……う。まさか、あの話を聞かれていたなんて。
「今日のひったくりを撃退した話に加えて、羽生さんが昔空手の全国大会で優勝したことがあるって話をしたら……男子たちはどう思うかな?」
「え?」
「王子様が現れるどころか、もしかしたら小学生のときみたいに、男子はみんな離れていっちゃうかもね?」
口の端を、くいっと上げる宇山くん。
「ど、どうしてそれを……」
私は、カタカタと震える。
「三池財閥の情報網、舐めないでよね」
そうだよね。あの三池財閥なら、個人情報の収集なんて簡単だよね。恐るべし、大財閥。
「ねぇ。中学でもまた、恋愛できなくて良いの? 彼氏、できなくても良いの?」
宇山くんに尋ねられ、私は口ごもる。



