私が戸惑っていると。
「彗さま」
タキシード姿の30代くらいの男性がどこからか現れ、宇山くんに折り目正しくお辞儀する。
「え。す、彗さまって……?」
「この人は、俺の執事の見上」
し、執事!?
「初めまして。彗さまの執事をしております、見上と申します」
見上さんが、私に向かって深々とお辞儀してくれた。
「ここじゃ目立つ。とりあえず、場所を変えようか」
そう言って宇山くんが指さしたのは、少し離れたところに停めてある黒塗りの高級車。
え。宇山くんって、私と同じ一般家庭の出身なのかと勝手に思っていたけど……違うの?
ゴクリと唾を飲み込み、私は宇山くんを見つめる。
「羽生さんに全部、ちゃんと説明するから。俺と一緒に来て?」
「う、うん」
私はおとなしく宇山くんについて行き、高級車の後部座席に彼と一緒に乗り込んだ。



