「菜乃花はもう一人じゃない。これからは俺と二人で一緒に、兄貴の分まで生きていこう」
「はいっ」
優しく微笑む彗くんに、私は大きく頷いた。
「菜乃花さん、これからも彗のことをよろしく頼むよ」
お父さんは私の肩をポンと叩くと、お母さんと並んで歩いて行った。
「ありがとうございます」
歩いて行くご両親の背中を見つめながら、私はもう一度頭を下げた。
「……菜乃花ちゃん」
私の背中に向かって、後ろから小さく声がかかる。
その声の主は……蓮くん。
蓮くんとこうして会って話すのは、蓮くんが髪飾り騒動の黒幕だったと彗くんから聞いて以来、初めてだ。
「ごめん、菜乃花ちゃん!」
蓮くんは、私が振り返ってすぐに頭を下げた。
「まさか、水が苦手な菜乃花ちゃんがプールに入るとは思わなくて。キミが溺れたって彗から聞いて……ひどいことをしたって反省した」
「蓮くん……」
「ただ謝ってすむ問題じゃないだろうけど」
蓮くんが、申し訳なさそうに肩を落とす。
「ほんとだよ。私だけならまだしも、実の兄である彗くんまで危険な目に遭わせて」
「そう、だよね」
「蓮くんのしたことは、簡単に許せることじゃない。でも……」



