流れていた音楽が止まると、パーティー会場は拍手喝采に包まれた。
お、終わった……。
彗くんがリードしてくれたおかげで、大きなミスもなくダンスは無事に終了。
安堵するとともに、私は寂しい気持ちでいっぱいになる。
お姫さまみたいにキレイに着飾って、大好きな彗くんの彼女としてパーティーに出席する。
この夢みたいな時間も、これでもうおしまいなんだ。
ダンスを終えた人たちはみんな、フロアの中央からはけていく。
後ろ髪を引かれる思いで、私もそれに続こうとしたが……。
後ろから、ガシッと誰かに手首をつかまれてしまった。
「菜乃花」
名前を呼ばれて振り向くと、彗くんが真剣な面持ちで立っていた。
「君に、大事な話があるんだ」
大事な話って、何だろう?
「なっ、なに?」
ドキドキしながら聞き返すと、彗くんはひとつ息を吐いて、私を見つめ返してくる。