彗くんのお父さんの指摘に、背筋が冷えた。
「いえ。嘘じゃないです。俺は菜乃花に対して、本気です」
曇りのない瞳でお父さんを真っ直ぐ見据える彗くんの隣で、私は内心ハラハラする。
「……そうか」
終始、厳しい顔つきだったお父さんが、息をついた。
「先ほどの鈴木さんへの挨拶でお前は彼女のことを、『僕が初めて、生涯ずっと大切にしたいと思えた人』だと話していたようだし」
えっ。お父さん、さっきの彗くんの話を聞いていたの!?
「彗は、本気のようだな。お前の気持ちはよく分かった」
お父さんは、彗くんに向かって小さく微笑む。
良かった。信じてもらえたみたい。
無事に彗くんの彼女としての役目を果たせたと、ホッとしたのも束の間──。



