「この子は、僕の恋人です」
彗くんの紹介に合わせて私はニコッと微笑み、男性に軽く頭を下げた。
「そうなのかい!? いやー、驚いたよ。うちの孫娘を彗くんの将来の伴侶に……と、密かに思っていたんだが。いつの間にか彗くんにも、そういう相手がいたなんて」
「はい。彼女とは、結婚を前提にお付き合いしています」
微笑を浮かべる彗くんが腕をさりげなく私の腰に回してきて、胸が跳ねた。
「彼女は……僕が初めて、一生大切にしたいなって思えた人なんですよ」
──ドキッ。
一昨日に彗くんから契約終了を告げられたから、これは彼の演技だって分かってるのに。
そんなふうに言われたら、勘違いしそうになっちゃうよ。
「そうか、そうか。君がそこまで思える相手と出会えたのなら、良かったよ。それじゃあ、このあとの例のアレもそちらのお嬢さんと?」
「もちろんです」
……ん? 例のアレ?
一体、何のことだろう?
「ねえ、彗くん。さっきの男の人が話してたのって……」
男性が離れたあと、私がすぐさま彗くんに尋ねたそのとき。
「彗」
低く落ち着いた声が、辺りに響いた。



