三池財閥主催のパーティー当日。
彗くんの執事の見上さんが運転する車で、パーティー会場のホテルへとやって来た私。
今は、ホテルの部屋でスタイリストさんに、身なりをキレイに整えてもらっている。
「はい。できましたよ」
「うわあ」
鏡には、まるで別人のような自分が映っていた。
この日のために彗くんが用意してくれたという、レースがついたピンク色のドレス。ウエストのリボンが、とっても可愛い。
普段は下ろしたままのストレートの髪はハーフアップにして、軽くメイクもしてもらった。
ブラウンのアイシャドウをのせられたまぶたは、キラキラしている。
やっぱりプロの人はすごいなあと、改めて感心していると。
──コンコン。
「菜乃花。俺だけど……準備できた?」
部屋の扉の向こうから、彗くんの声がした。
「はい。今行きます!」
私が慌ててドアを開けると、目の前にはネイビーのスーツを着た彗くんが立っていた。