隠れ御曹司は、最強女子を溺愛したい



そりゃあ、そうだよね。大切なお兄さんが、私を助けたことで亡くなったのだと知ったら……私のことはもう、そばに置いておけないよね。


目には、じわじわと涙があふれてくる。


できることならもう少し、彗くんのそばにいたかった。


彼のボディーガードとして、彗くんのことを守りたかった。


お兄さんとのことがあるから、彼に想いは伝えられなくても、せめて好きな人のそばにいたかった。


だけど、私にこんなことを思う資格なんてない。


もちろん、彗くんからの申し出を拒否することも。だから……


「分かった。お兄さんのこと、本当にごめんなさい」


私はただ、そう言うことしかできなかった。