菜乃花が、プールで溺れていたから。
「菜乃花……!」
俺は、プールサイドへと慌てて駆け寄る。
どうしよう、俺のせいだ……。
全身から、サッと血の気が引いていく。
元はと言えば、俺が菜乃花に彼女役を頼んだせいで、蓮が菜乃花に興味をもったんだ。
俺が菜乃花と、ボディーガード兼カノジョの契約を結んだりしなければ、蓮が菜乃花について調べることもなかっただろうし。
俺たち兄弟が、兄貴と菜乃花の繋がりを知ることもなかったのかもしれない。
何より、菜乃花が危険な目に遭ったり、プールで溺れることもなかったはずだ。
「……ッ」
俺は、唇を震わせる。
「だ、誰か……っぷ」
ふいに溺れる菜乃花の声がして、俺はハッとする。
ダメだ。今は、悔いている場合じゃない。
「待ってろ、菜乃花!」
──バシャーン!!
俺は靴を脱ぐと、菜乃花を助けるため制服のままプールへと飛び込んだのだった。



