「単刀直入に言う。蓮、お前が伊集院に……菜乃花の髪飾りを盗るように言ったんだろ?」
自分の声が震えそうになるのを、必死に堪える。
「……は? 彗ったら、いきなり何を言い出すんだよ」
蓮が眉をひそめる。
「さっき、クラスメイトの伊集院から聞いたんだ」
「ちょっと待ってよ。普段から菜乃花ちゃんと仲良くしている僕が、そんなことをする訳ないじゃない。その伊集院さんって子が、嘘でもついてるんじゃないの?」
そうだよな。俺も最初は、信じられなかったけど。
「ここに来る途中、蓮がそこのプールの建物の近くで、伊集院から菜乃花の髪飾りを受け取るところを見たって、水泳部の人からも聞いたんだよ」
「そんな……ひどいよ、彗」
蓮の声が、少し悲しそうに落ちる。
俺だって本当は、こんなことを言いたくはない。自分の身内を……蓮を、疑いたくなんてないんだ。
「まさか彗が、そんな人だとは思わなかったよ。いとこのことを……ううん。実の弟である僕のことを疑うなんて」
「っ!」
そうだ。蓮は、戸籍上は俺のいとこだけど。
本当は……血の繋がった俺の双子の弟だ。



