「あのさ。俺、いま探し物をしてるんだけど……」
「探し物って……もしかして、羽生さんの?」
「あれ? 俺は菜乃花の物を探してるだなんて、一言も言ってないけど」
「……あっ」
しまった、という顔で、伊集院が口元を手で覆う。
「もしかして伊集院さん、何か知ってる?」
「さっ、さあ? あたしは、何も知らないけど……」
そう話す伊集院の目は、明らかに泳いでいる。
髪飾りがなくなった日。伊集院が菜乃花の席の近くにいるのを見たって、菜乃花が言っていたし……やっぱり怪しい。
「あっ、あたし、もうすぐ家庭教師が来る時間だから。そろそろ帰らないと……」
伊集院は、慌てて廊下を歩いて行こうとするが。
──ダンッ!
俺は伊集院のすぐそばの壁に勢いよく手をつき、彼女が通れないようにした。
「ひっ!」
俺を見て、サッと顔を青くする伊集院。
本当は、こんなやり方はしたくないけど。
「ねえ、伊集院さん。何か知ってるよね?」
イライラする気持ちを何とか抑え、俺は努めて笑顔で尋ねる。
「俺に教えてくれないかな?」
「ええっと……」
「俺が菜乃花にプレゼントした髪飾り、どこへやったの?」
「……っ。じ、実は……」



