菜乃花と今の関係が始まった頃は、本当に何とも思っていなかったけど。
菜乃花は、蓮がなくしたお守りを嫌な顔せず一生懸命探してくれたり。
分け隔てなく誰にでも親切で、優しくて。
そんな彼女と一緒に過ごしているうちに、いつしか俺にとって菜乃花は、かけがえのない存在になっていた。
彼女役じゃなく、菜乃花を本当の彼女にしたい。
いつの日か『早く私の王子様が現れないかなー?』と言っていた菜乃花の王子様には、自分がなりたい。
俺は柄にもなく、そんなことを思うようになっていた。
だから菜乃花のためにも、あの髪飾りは何が何でも絶対に見つけてやりたい。
俺は、菜乃花の笑顔が見たいから──!
「はぁっ。どこだよ」
俺は、学校内をひたすら走り回る。
教室や廊下はもちろん、食堂や移動教室など。
下駄箱の中を、ひとつひとつ見たりもした。
だけど、髪飾りはどこにも見当たらない。
くそっ。これじゃあ、埒が明かない。
そう思った俺は、ちょうど廊下を通りかかった明るい茶髪の女子に聞いてみることにした。
「あの、すいません」
「えっ、キャッ……彗さん!?」
俺がたまたま声をかけた女子……よく見てみるとそれは、クラスメイトの伊集院だった。



