……あっ。羽生さんだ。
そんなある日。俺は街で偶然、菜乃花を見かけた。
「ドロボーー!」
いきなり女性の叫び声がした、と思ったら。
バッグを持って逃げるひったくり犯に菜乃花が体当たりして捕らえるまで、ほんの一瞬だった。
「まじ、すっげーな」
思わず口からこぼれる言葉。
俺は執事の見上にこっそり菜乃花のことを調べてもらい、彼女が小学生の頃に空手の全国大会で優勝経験があると聞いてはいたけれど。
菜乃花がひったくり犯を撃退する光景を目の当たりにして、やっぱり彼女は強いと確信した。
このとき、俺には菜乃花が正義のヒーローに見えたんだ。
そうして俺はすぐさま菜乃花に、自分のボディーガード兼カノジョになって欲しいと伝えた。
人となりもある程度分かっていて、そのうえ身体的にも強い彼女なら、うってつけだと思ったんだ。



