菜乃花に対して、最初はただの転校生という印象しかなかった。
だけど……。
『江藤さん、大丈夫!? 保健室行こう』
ある日の体育の授業で、突然体調を崩したクラスメイトを心配した菜乃花が、彼女を横抱きにして保健室まで連れていく姿を見たとき、見る目が変わった。
クラスの誰よりも真っ先に駆け寄って、声をかけて。
小柄な菜乃花が、自分よりも背の高い江藤さんを軽々とお姫様抱っこするなんて……驚きだった。
他の女子とは違う何かを感じて、そこから菜乃花に興味をもった。
それ以来俺は、彼女をこっそり観察するようになった。
菜乃花は、頼まれてもいない教室の花瓶の水を毎日替えていたり。
みんなが嫌がる先生の雑用なんかも、率先して手伝っていたり。
まだ転校してきたばかりで、学校に馴染むために、無理をしてやっているだけなのかもしれないと思っていたけど。
それから1週間、2週間が過ぎても、花瓶の水の交換や先生の手伝いは続いていた。
だから、菜乃花は単純に良い子なんだなって思った。



