隠れ御曹司は、最強女子を溺愛したい



制服のままプールに入っちゃったから、服が水を吸ってしまって。重くて動きづらいけど……あと少し。


もう少しで、髪飾りのところに辿り着く。


「……あっ」


歩いていると、頬に冷たい滴が落ちてきた。


雨はやがて勢いを増し、私の髪の毛を濡らしていく。


髪だけでなく、顔も制服もみんなびしょ濡れだけど、そんなの構わない。


早く。早く、髪飾りの元へ……。


「っ、やった!」


そうして私は、ついに髪飾りがある場所に辿り着いた。


すぐに手を伸ばして持ち上げると、それは間違いなく、彗くんからもらった黄色い花の髪飾りだった。


「ああ、良かった」


私は、髪飾りを胸元でギュッと抱きしめる。


ずっとトラウマだった水の中に自ら入って、歩けた。たったそれだけのことだけど、私にとっては大きな進歩だ。


そして何より……


「髪飾りが見つかって、本当に良かった」


ようやく髪飾りを手にした私は、プールサイドへ戻ろうとプールの中を再び歩き出したそのとき。