隠れ御曹司は、最強女子を溺愛したい



それは、この1週間ずっと探し続けていた、黄色い花の髪飾りだった。


「うそ。どうしてあんなところに!?」


水が溜まったプールにぷかぷかと浮いている髪飾りを見て、私は呆然とする。


取りに行かなきゃ。


私は、そろそろとプールの淵へと近づく。


だけど、水を前にすると川で溺れたあの日のことが鮮明に蘇って、足がすくんでしまった。


やっぱり、ダメだ。怖い……。


私は、その場にへなへなと座り込む。


プールに入るなんて、私には無理なのかな?


──『これは、いつも俺と一緒にいてくれるお礼だよ』


俯いたそのとき、保健室で彗くんから髪飾りをもらったときのことが頭を過ぎった。


『ショップでこれを見かけたとき、真っ先に菜乃花の顔が浮かんだんだよね』

『菜乃花の名前って漢字で書くと、『なのはな』って読めるだろ? 春に咲く菜の花と、同じだなって思って』


あのときの彗くんの言葉。そして……


『うん。やっぱり似合ってる』


私の髪に、髪飾りをつけてくれたときの彗くんの優しい笑顔。


「……っ、彗くん……」