「菜乃花?」
動きが止まった私を、彗くんが怪訝そうな顔で見つめてくる。
「もしかして、何か思い出した?」
「えっと……髪飾りがなくなった日、昼休みに伊集院さんが私の席の近くにいたのを見かけて……」
「えっ!?」
彗くんが目を大きく見開く。
「言われてみれば伊集院さんって、菜乃花のことが気に食わないみたいな感じだったよな。まさか、あの子が?」
彗くんの顔つきが、険しくなる。
「俺、今から教室に戻って伊集院さんに確かめてみる」
椅子から勢いよく立ち上がった彗くんの腕を、私は慌てて掴む。
「待って、彗くん」
「何だよ。髪飾りがなくなった日、伊集院さんが菜乃花の席の近くにいたのなら、あの子が一番怪しいだろ?」
確かに、伊集院さんが私の席の近くにいた日の放課後、髪飾りがなくなったけど……。
「伊集院さんがやったって確証もないのに、疑っちゃダメだよ。私、もう一度校内を探してみる」
「だったら、俺も探すよ」



