「うそつけ。ここ最近の菜乃花、ずっと元気ないじゃないか」
見透かすように彗くんにじっと見つめられて、少しだけ視線を逸らした。
「ほっ、本当に大丈夫だから」
「それじゃあ、なんで俺から目をそらすんだよ」
「……っ!」
彗くんが私の頬を、そっと両手で挟んだ。
真剣な目で見つめられて、心臓が破裂しちゃいそう。
「やっぱり俺じゃ、菜乃花の力になれない?」
少し悲しそうに落ちる、彗くんの声。
余計な心配はかけたくないって、思っていたけど。
そんなふうに言われたら、話さないわけにはいかないよ。
「実は……彗くんからもらった髪飾りをなくしちゃって」
「そっか。菜乃花、それで元気がなかったのか」
「ごめんなさい……」
私の目には、じわりと涙が浮かぶ。
「大丈夫だよ」
彗くんの手が、私を安心させるように肩にぽんと置かれた。
「何か心当たりとかはないの?」
「心当たり……あっ」
彗くんに聞かれてふと頭に浮かんだのは、伊集院さんの顔。
校舎から花瓶が落ちてきたあの日。
ケガをした私が保健室から教室に戻ってきたとき、私の席の近くに伊集院さんがいたけど、何をしていたんだろう?
まさか……。



