「ねえ、千春ちゃん。私の髪飾り、見なかった?」


翌朝。登校した私は自分の席で読書する彗くんを横目に、友達の千春ちゃんにこっそりと声をかけた。


「髪飾りって、菜乃花ちゃんがカバンにいつもつけてた、黄色いお花のバレッタ?」

「そう! 昨日から見当たらなくって」

「うーん。わたしは見てないなあ」

「そっか……」


千春ちゃんの言葉に、ガクッと肩を落とす。


「もし見かけたら、すぐに菜乃花ちゃんに言うね」

「ありがとう。お願いね」


それからも髪飾りは一向に見つからないまま、1週間が経過。


職員室にも落とし物として届いていないらしく、私の不安な気持ちは日に日に大きくなるばかり。