家庭科の授業が終わって、放課後。
日直の私は、職員室まで日誌を届けに来ていた。
「お疲れさん。そうだ、羽生にちょっと頼みがあるんだが……」
「何ですか?」
「教室に戻るついでに、これを運んでおいてくれないか?」
私は先生から、分厚い本を何冊か渡された。
……う。これは、けっこう重いかも。
「それ、明日の1限目の俺の授業で使う資料なんだ。よろしく頼むよ」
先生にニコニコしながらお願いされると、さすがに断ることはできなくて。
「分かりました」
私は、引き受けることにした。
「はあ……」
職員室を出て何冊もの分厚い資料の本を改めて見ると、無意識にため息がこぼれてしまう。
まあ、今日は日直だから仕方ないよね。教室に戻るついでだし、頑張ろう。
気合いを入れて、歩き始めたそのとき。
「あれ、菜乃花ちゃん?」
後ろから誰かに声をかけられた。



