「菜乃花、怪我してるじゃないか」
「あっ」
彗くんに言われて気づいたけど、私の膝からは薄らと血が流れていた。
彗くんを突き飛ばしたときに、地面に飛び込むような形になったから。
そのときに、膝を擦ってしまったのかな?
私は、膝についていた土を手でさっと払う。
「菜乃花、保健室行こう」
私の手を取り、歩き出そうとする彗くん。
「だっ、大丈夫だから。かすり傷くらいで保健室だなんて、大袈裟だよ」
空手や合気道を習っていたときは、怪我なんてしょっちゅうしていたし。
「大袈裟じゃないよ」
彗くんは私の手を引いて、中庭の脇にある水道まで連れていく。
水道のところまで来ると、彗くんは蛇口をひねって私の膝を水で洗い流した。
「ごめんね」
御曹司である彗くんにこんなことをさせるなんて、何だか申し訳ない。
「ううん。菜乃花が謝る必要なんてないから」
彗くんは膝についていた土をキレイに洗い流すと、持っていたハンカチで優しく拭いてくれた。



