店員に口を聞いてそれを包んでもらいながら、彼ははにかんだ。

「いいんだ、今回は。ジェミーとは、これから長い時を過ごすんだから」

 始まりのひとつとしては、このくらいがちょうどいい。きっとこの先彼女と会うたびに何度でも頭を悩ますことになるのだろうから。
 ジェミーへのプレゼント探しが、ルゼの一番の趣味となる……そんな嬉しさを予感して。

「さ、帰ろう。悪かったね付き合わせて。そうだ、どこかでお茶でも飲んでいかないか? その、いつも淹れてくれる側だっただろ、今日くらいはご馳走させてくれ」

 店員からアクセサリーを受け取ると振り向いた、主従という関係から解き放たれたルゼの言葉に、少しだけ目を見開くと――ウィリアムは感慨深げに目を細めた。

「……そうですな。ご相伴にあずかるとしましょう」

 これまでは、時が止まったように固まっていたルゼと周りを取り巻く人々との関係も、彼の変化とともに緩やかに動き出している――。