~転生悪役令嬢の裏道攻略~ シークレットキャラとたどり着く、処刑回避後のハッピーエンド

(あーっ、そういえばあの時僕は思いっきり彼女を抱き締めてたじゃないか! くそっ、どんな感触だったかも覚えてないや……じゃなくて! 混乱してたからといって、あんな態度……)

 あの頃のルゼは、存在しない第三王子の陰を追って、彼を省みない他の王子たちに怒りを覚えていた。学内でクラフトを探したのも、一目顔を見て、可能ならばひと言文句でも言ってやりたいと思ったからだ。そんな自分勝手な苛立ちをぶつけてしまうなんて、最悪の態度だった。彼女が風評通りの悪女でなくて、本当に良かったと思う。

(はぁ、気にしてないみたいだけど、今度会ったらちゃんと謝ろう。でも、それからも結構、学園生活を送る彼女には振り回されてばかりだったな)

 王宮での夜会の一幕や誕生日パーティー、それからガースルの説教(ほぼジェミー自慢)を経て、彼女が噂とは違う人間なんだとわかった。どれだけ家族に大切にされているのかも。それらが彼女に対するルゼの印象を変えるきっかけとなった。

 そして帝国で動く間に、ジェミーが単なる無鉄砲で我儘ばかりの自己中心的なトラブルメーカーではないということが、だんだんわかってきた。周りの人間を自分なりのやり方で幸せにするために努力を惜しまないその姿勢に、尊敬すら覚えたのだ。その証拠に、彼女の周りでは、いつだって誰かの笑顔が絶えなかった。