――幸い、その事故で怪我人は出ず、周辺の店舗に出た損害をペリエライツ家が負担する形でことは収まった。御者もミリィに抱えられて馬車から脱出できたらしく、誰も命を失わなかったのは僥倖である。とはいえだ。
「今から思い出しても腹立つわぁ。こちとら一応ご主人様だってのよ、ミリィ~!」
それなら逆に私の方を抱えて脱出してくれてもよかったんじゃないと、ジェミーは今でも激しく憤っている。
せっかく市場を回ってかき集めた戦利品もすべて無駄。服も髪もどっろどろ。数日間はトマトの酸っぱい匂いが体から消えず、夜ごとケチャップの波で溺れる夢を見たものである。加えて、損害賠償として買い取ったトマトのせいで、しばらくの間ペリエライツ家の食卓はトマト祭りとなった。後にも先にもこんな経験をすることは二度とないだろう。絶対したくない。
しかし、大した怪我もせず命が助かったのもまた事実。ミリィの行動を強く責めることもできず、ジェミーは一日自分の部屋に引き篭もって頭を冷やすと、ちゃんと優秀な侍女にお礼を言ってあげたのだ。あんまり言うと調子に乗りそうだったので、一言だけに留めておいたが。
にしても咄嗟の判断力といい、あのパワーといい、ミリィの正体は並の侍女ではなさそうだ。
「今から思い出しても腹立つわぁ。こちとら一応ご主人様だってのよ、ミリィ~!」
それなら逆に私の方を抱えて脱出してくれてもよかったんじゃないと、ジェミーは今でも激しく憤っている。
せっかく市場を回ってかき集めた戦利品もすべて無駄。服も髪もどっろどろ。数日間はトマトの酸っぱい匂いが体から消えず、夜ごとケチャップの波で溺れる夢を見たものである。加えて、損害賠償として買い取ったトマトのせいで、しばらくの間ペリエライツ家の食卓はトマト祭りとなった。後にも先にもこんな経験をすることは二度とないだろう。絶対したくない。
しかし、大した怪我もせず命が助かったのもまた事実。ミリィの行動を強く責めることもできず、ジェミーは一日自分の部屋に引き篭もって頭を冷やすと、ちゃんと優秀な侍女にお礼を言ってあげたのだ。あんまり言うと調子に乗りそうだったので、一言だけに留めておいたが。
にしても咄嗟の判断力といい、あのパワーといい、ミリィの正体は並の侍女ではなさそうだ。



