上機嫌でジェミーはカクテルを飲み干すと、お代わりを次いでもらいながら全身の力を抜いた自堕落スタイルで足を組みかえた。

 王国立上級学園も卒業してしばらくだから、あの結婚式の事件から、もう二年以上も経つのかと思うと、なかなか感慨深いものがある。

「御嬢様~。ぼんやりされて、どうかなさいましたか?」
「いやー、一番忙しかった頃を思い出しちゃって」
「あはは、クラフト殿下との結婚式から逃げ出したあの後ですか。御嬢様はいろいろ大変な目に遭われましたものね~。でも、わたしだって、なにも知らなかったのにお父様たちに大目玉を食らっちゃったんですよ~」

 ミリィから冗談ではないというようにじろりと睨みつけられ、言い訳のしようもなくジェミーはごろりと彼女に背中を向ける。

「ごめんごめん。巻き込んで悪かったと思うけどさ。でもおかげで今はこうして皆元気にやれてるんだから、終わりよければで流しちゃっていいとこだと思わない?」
「まったく、調子いいんですから」
「てへへ」

 つんと顔を背けたミリィに、ジェミーの陽気な笑顔が花咲く。