ざざ~ん……ざざ~ん。
 燦燦(さんさん)と日差しが照りつける白い砂浜。
 海原の奥から届いてくる耳心地のいい波音が、子守歌のように意識をリラックスさせてくれる――。

「どうですか~、御嬢様~」
「苦しゅうないわ~ん」

 ミリィの握るヤツデの葉みたいな大うちわで扇がれながら――そこに用意した、特等席のデッキチェアに寝そべるジェミーはしなやかにカクテルグラスを傾けた。

 眩しい日光を防ぐため、特注で仕立てた巨大なパラソルを上に差し、薄手のワンピースドレスと広いつばの避暑地モードで今彼女は、優雅な休暇を楽しんでいる。

(そうよそうそう。ずっと、こういう豊かなライフスタイルを楽しみたかったのよ~)

 時間にも面倒な仕事にも追われることなく、日がな一日潮騒と果てまで広がる水平線を肴に、ただ生きていることを喜ぶ。

「ふっふ~ん、サイッコーね」