一度忍び込んだからにはなんらかの手土産を持ち帰らねば自国へと戻れないのが、間諜というもの。そこで、命を狙われたのが第三王子のアルサイド殿下だったというわけです。
その日のことはよく覚えています。私は、侍従長として王宮の下働きの者たちの取りまとめに忙しくしていた。
ですが、城のあちらこちらを行き来する間に、女官と並び、嬉しそうに歩いていたアルサイド殿下がこちらに手を振られたのは、よく覚えています。
「じい、ちょっとおさんぽしてくるね」
「ええ。大事な御身ですから、怪我にはお気をつけなさいませ」
そう言ってすれ違った時に、なにやら嫌な予感がしたような気がしたのですが……私はそれを気にする余裕もなく、仕事をこなし続けた。そして日暮れ前に、恐ろしい知らせが届いてしまった。
「じ、侍従長様! ルゼ様が!」
「……なにがあった!」
駆け込んできた女官の形相で察し、駆けつけた私が医務室に踏み入れると、そこには――。
その日のことはよく覚えています。私は、侍従長として王宮の下働きの者たちの取りまとめに忙しくしていた。
ですが、城のあちらこちらを行き来する間に、女官と並び、嬉しそうに歩いていたアルサイド殿下がこちらに手を振られたのは、よく覚えています。
「じい、ちょっとおさんぽしてくるね」
「ええ。大事な御身ですから、怪我にはお気をつけなさいませ」
そう言ってすれ違った時に、なにやら嫌な予感がしたような気がしたのですが……私はそれを気にする余裕もなく、仕事をこなし続けた。そして日暮れ前に、恐ろしい知らせが届いてしまった。
「じ、侍従長様! ルゼ様が!」
「……なにがあった!」
駆け込んできた女官の形相で察し、駆けつけた私が医務室に踏み入れると、そこには――。



